鉄は叩かれるほど強くなる
 今回のアルコ・ロック・マスター、誰でも参加できるオープンの予選と、そのオープン予選通過者と招待選手で争われるセミ・ファイナルはもちろん一般的なオンサイト方式だったが、決勝はワークト方式。決勝進出者、当日昼間に各自持ち時間20分で試登しムーブを探っておいて、決勝ではレッドポイントを目指す、という方式。もちろん終了点まで達しなくとも、とにかく一番上まで登ったクライマーが勝者なのはオンサイト方式と同じ。それにそもそも事前に試登できるとはいえ、持ち時間20分で全てのムーブを完璧にしておくのはなかなか難しいことだろうとは思う。そこでどのように試登するかがキーとなって来る場合もあるようだ。そんなことをデスニベルWEB版の”ラモネッ、アルコ7勝目”という記事を読んでいて感じさせられた。
 取材に行ったデスニベルのダリオ・ロドリゲェスは、その記事の中で以下のようなことを書いている。
『(彼が唯一人完登で優勝した今だから)はっきり言うんだが、決勝ルートを試登している彼を見た時、「あれはまず彼には出来ないな」と思わされるムーブの存在に、変に自信があった。その中間部の数ムーブの解決に持ち時間20分を”いたずらに費やしている”彼の姿、やはりそこは不可能なのだとしか考えられなかった。
 もちろん彼の前に試登した他のクライマーたちは、ゆうにトップまで登っていたのだから、そんな彼を見て、余計にこっちも焦ってきてしまった。時間が容赦なく過ぎて行く一方で、ルート中間部でぶら下がり立ちすくむような感じで上に行こうともせずに彼が一体何をしているのか、理解できなかった。いろいろなムーブを試すわけでもなく、ぶら下がったままホールドを探り続けるだけの彼。
 そしてやっと持ち時間も5分を切る頃、再び登りだした。登ると言っても次々にクイックドローを掴んで体を持ち上げホールドを観察して行くだけ。それぞれのムーブを実際にやってみるだけの時間はすでになかった。そして時間切れと同時にトップにたどり着くような有様だった。
 「今回はダメだ」がそんな彼を眺めていた全員が抱いた印象だったはずだ、と自信を持って言える。どう見たって彼が試登時間をうまく使っていたとは思えなかったし、ラモネッのファンがいつかは必ず来ると考えるその日がついに来てしまったのだ。その日とは、セッターがラモネッの身長では絶対に届かない距離のところにホールドを着ける時。そんな時が2013年アルコ・ロックマスターでやって来たのだった。
 しかしコンペが始まり、ラモネが時間を浪費しているだけのように見えたそのパートで複数のライバルが次々と落ちる様子を見て、彼のやり方も戦略的にさほど悪くなかったのでは、と考え始めた。下部にあるムーブを解決することなしに上部の試登に時間とエネルギーを費やすかわりに、ラモネッはその中間部の最初の核心と睨んだパートの解決に集中したのだった。彼の判断は正しかった。中間部のワン・ムーブができないまま上部を試登することなど無意味に決まっている。
 今回は彼の老練さのおかげで、ラモネッは役者が一枚上だったようだ。歴戦の兵(つわもの)ラモネッ、その中間部のムーブ以外はそれほど難しくはないことを直感的に悟ったようだ。そして彼の読みは当たった。多くのライバルたちが落ちたそのパートを手堅く通過した彼、観客の声援を一身に浴びながら最終ホールドを握ったのだ。』
a0079878_23154712.jpg
 ”その”部分を登るラモネッ。壁のパターンを使う左手と左足に注目。突き出したホールドとホールド間は遠くともラモネッなら壁のパターンを巧みに使うはずと読みリーチ差が出ないように配慮したセッターに拍手。
管理人2号

by manabuyuko | 2013-09-09 23:17 | クライミング
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